housenka1923の日記

荒川が造られた頃のことにあった事件を60年ほどのちに、地域に住む方々が教えてくれたのが始まりでした。1923年9月1日の関東大震災が起きた直後、多くの朝鮮人を殺して、その河川敷に埋めたことを。遺骨の一つでも葬ってあげなければ浮かばれないと。

浜田桂子さんが「風よ 鳳仙花の 歌をはこべ」を紹介して下さいました。

 絵本作家の浜田桂子さんの、紹介文を2022年5月の会報で掲載しました。

 当会が昨年出版した「風よ 鳳仙花の歌をはこべ」を他誌に紹介して下さいましたので、承諾を得まして、ここに転載させて頂きます。ありがとうござます。

【事実を知るということ】 

 『風よ 鳳仙花の歌をはこべ』という本を、版元の出版社「ころから」から頂いた。風雅なタイトルであるが、本の内容はおぞましい。関東大震災時に起きた、朝鮮人虐殺についての聞き取りの記録で、編者は「ほうせんか」という団体だ。

 1980年代に、東京下町での朝鮮人虐殺について聞き取り調査をした「ほうせんか」は、小学校教員らを中心にした市民グループだった。被害者の遺骨掘り起こしや、90年代には追悼碑建立のため奔走したとのこと。1992年、この記録を教育出版会から『風よ鳳仙花の歌をはこべ』として刊行する。現在入手が困難になったことで、新情報を加え新たに出版された。

 虐殺は「知ってるつもり」だった。しかし「知らなかった」ことを実感する。「デマを信じた一部の自警団」だけでなく、軍人が、警察が、狂ったように殺しまくるのだ。多くの遺体は集められ焼却され埋められ、遺骨が発掘できない状態にしていく。

 決して昔の話ではない。ヘイトスピーチを国は本気で取り締まらない。小池百合子東京都知事は、虐殺を天災に封じ込めた。関東大震災当時の、朝鮮総督府の言動と同じである。

 本の終章、在日2世のシン・ミンジャさんの言葉にいくばくか救われる。

「でも私ね、97年前とは違うと思っています。ヘイトスピーチの状況の中でも、たくさんのね、私たちを殺さない、殺させない、繰り返してはいけないと思っている日本人が大勢いるということ、この喜びは何物にも代えられません」

 

 

2021年7月21日発行             ころから

価格  2000円+税